Yokobayashi Lab
研究概要


DNAやRNAとして知られる核酸は、遺伝情報の伝達、遺伝子発現制御、分子認識、化学反応触媒など、様々な機能を示します。核酸化学・工学ユニットでは、これらの核酸の多彩な機能を活用し、高度な機能を持つ核酸分子を創ることを目指します。

当ユニット所属の博士研究員や学生は、各自のバックグランドや興味に応じ、核酸化学・工学分野の様々な研究を行います。現在進行中のプロジェクトの例を示します。

  • 核酸酵素の解析と工学的研究のための、高速シーケンス技術の応用

  • 哺乳類細胞、ウイルスベクター、バクテリア、人工細胞などにおける人工リボスイッチの開発と応用

  • 核酸による自己組織化

当ユニット所属のポスドク及び学生は、化学および生命科学の幅広い分野のバックグランドから集まっています。

生物学的および医学的応用


人工核酸、特にRNAは、生細胞内の様々な分子と相互作用し、細胞を制御できる可能性があります。これまで我々は、多くのRNAによる遺伝子スイッチ「リボスイッチ」を開発し、バクテリアや哺乳類細胞内で、低分子化合物によって遺伝子発現を制御することに成功しました。また、人工リボスイッチの代謝工学、幹細胞工学、遺伝子治療などへの応用にも関心があります。外部企業や大学研究者との共同研究も進行中です。これらのプロジェクトについては、生命科学のさまざまな分野のバックグランドを持ち、リボスイッチなどの核酸デバイスの新たな応用を考える能力のある研究者を歓迎します。

化学システム


我々は複数の核酸「部品」や「モジュール」から構成される、シンプルなものから複雑な化学システムの開発を目指しています。例えば、化学シグナルを増幅して、蛍光を発するRNAバイオセンサー回路などを開発しました。これらの核酸による化学システムは、核酸化学の発展はもちろん、将来の生物学的応用の基盤としても意義があります。

また、非天然の核酸を活用した化学システムの拡張、マクロスコピック自己組織化、生物学的応用を目指した新規アプタマーの開発、核酸を制御する低分子化合物の開発、核酸デバイスを内包した人工細胞などにも関心があります。これらのプロジェクトには、有機合成化学の経験がある研究者を歓迎します。

新規手法の開発


高度な機能を持った核酸を設計するためには、新しい手法や既存の手法の改良が重要になることがあります。我々は機能性核酸の開発を支援する様々な手法を開発し、時には既存の手法と組み合わせて、多くの機能性核酸を開発してきました。

例えば、我々は高速シーケンシング(次世代シーケンシング)技術を応用して、数万種類の核酸酵素変異体の触媒活性を一度に定量的に測定する手法を開発しました。この手法を用いて、より高性能な人工リボスイッチの開発や、核酸酵素の配列ー機能相関についての基礎研究を行っています。また、マイクロ流路デバイスを用いた核酸デバイスの開発も行っています。最近では、特異な結合を示すRNA-タンパク質ペアの探索法の開発を行いました。